交通事故で骨折したらどうなる? 症状・治療・後遺症まで徹底解説!
そもそも骨折とは?
骨折とは、骨に強い力が加わることによって、骨の一部または全体の連続性が断たれる状態を指します。
骨折の種類は、ひびが入る程度の「不全骨折」から、完全に折れる「完全骨折」、さらに複雑な「粉砕骨折」など多岐にわたります。
骨折は大きな外力が加わることで発生しますが、自転車に軽くぶつかった程度の軽微な外力でも骨折してしまうことがあります。これは、まるで岩を軽く叩いただけで割れてしまうことがあるように、力の加わり方によっては比較的簡単に骨折に至ることがあります。
交通事故では、予期せぬ方向から突如として強い衝撃が体に加わるため、様々な部位で骨折が発生しやすいことを覚えておきましょう。
特に、以下のような状況で骨折が起こりやすいと言えます。
衝突の衝撃による直接的な外力: 車同士の衝突や、歩行者と車両の接触など、事故の瞬間に骨に直接的な衝撃が加わることで骨折が発生します。
転倒による間接的な外力: 衝突の弾みで体が投げ出され、地面に強く打ち付けられたり、手をついたりする際に間接的に骨折することもあります。
身体のねじれや圧迫: シートベルトによる圧迫や、車内に挟み込まれることによるねじれなども、骨折の原因となることがあります。
これって骨折!? 交通事故後に見逃してはいけない骨折のサインと緊急度
交通事故の後、「もしかして骨折しているかも?」と不安になることはありませんか? 骨折は見た目では判断しにくいこともありますが、いくつかのサインを見逃さないことが重要です。骨折の主な症状として、以下の4つが挙げられます。
①激しい痛み
②腫れ
③内出血
④変形
① 激しい痛み
骨の表面には痛みを感じる神経がたくさん集まっているため、骨折すると耐え難いほどの激しい痛みを感じます。また、骨が完全に折れると、折れた木の枝の断面が鋭利になるのと同じように、骨折した部分の断面も鋭利になります。この鋭利な骨の断面が周囲の筋肉や血管、神経などを傷つけることで、より強い痛みを引き起こすことがあります。
② 腫れ
骨折による腫れは、単なる打撲と比較して非常に大きく、広範囲にわたることが特徴です。骨が折れるということは、骨だけでなく、その周囲にある筋肉や血管も損傷している可能性が高いことを意味します。そのため、損傷部位からの出血量が多くなり、結果として強い腫れが生じます。
③ 内出血
腫れとともに、骨折では特徴的な内出血が生じます。特に骨折初期には、患部にどす黒い色の内出血が見られることが多いです。ただし、骨の表面だけが傷ついた「ひび」などの軽微な骨折の場合、内出血がほとんど見られないこともあります。そのため、内出血の有無だけで骨折の有無を判断するのは避け、他の症状と合わせて総合的に判断することが大切です。
④ 変形
完全に骨が折れ、骨の連続性が失われて軸がずれると、患部に目に見える変形が生じます。しかし、骨の表面の傷や、ひびが入る程度の不全骨折の場合、骨の軸は正常なままであることが多く、この場合は変形は生じません。変形が見られないからといって、骨折ではないと自己判断しないようにしましょう。
その他の重要な症状と緊急度
上記の症状に加えて、骨折した部位を動かすことが困難になったり、足の骨折であれば体重をかけることができなくなったりすることもあります。
さらに重要なのが、骨折に伴って神経損傷を合併しているケースです。この場合、患部から離れた手足の指先などにしびれや麻痺が生じることがあります。しびれや麻痺は、神経が圧迫されたり損傷したりしているサインであり、放置すると後遺症につながる可能性もあるため、これらの症状が見られた場合はすぐに医療機関を受診することが非常に重要です。
交通事故直後は興奮しているため、痛みをあまり感じないこともあります。しかし、時間が経つにつれて症状が悪化することもあるため、上記のようなサインが一つでも見られた場合は、必ず整形外科などの専門医の診察を受けるようにしてください。
要注意!交通事故で特に骨折しやすい体の部位と危険度チェック
交通事故では、予期せぬ強い衝撃が体に加わるため、特定の部位で骨折が起こりやすくなります。
ここでは、特に注意が必要な部位と、その危険度について詳しく見ていきましょう。
肋骨
肋骨は、胸部に強い衝撃を受けることで骨折しやすい部位です。
軽度なひびが入った程度であれば、胸部コルセットを装着し、安静にすることで自然に治癒することが多いです。しかし、肋骨は呼吸のたびに広がるため、骨折していると呼吸に伴う痛みが誘発されます。
特に注意が必要なのは、胸部を損傷した後に息苦しさが見られる場合です。
折れた肋骨の鋭い断面が肺を傷つけてしまうと、肺から空気が漏れ、呼吸困難の症状が生じる危険性があります。息苦しさを感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
鎖骨
鎖骨は、バイクや自転車での事故で転倒した際に、肩から地面に強くぶつかることで骨折しやすい部位です。
鎖骨は皮膚の表面からも触れることができるため、完全に骨折している場合は、肉眼でも変形が容易に確認できます。左右の鎖骨を見比べて形が違う場合は、骨折を強く疑いましょう。
鎖骨は腕を上げる動作にも深く関わる骨であり、骨折すると腕を上げることが困難になるなど、動作に大きな制限が生じます。
また、この部分の骨折では、腕に向かう神経を損傷してしまうケースも少なくありません。腕にしびれや麻痺が見られる場合は、神経損傷の可能性が高いため、ためらわずに医療機関を受診してください。
骨盤
骨盤は、交通事故による強い衝撃を受けることで骨折することがあります。
骨盤は体の中で最も大きな骨の一つであり、内臓や太い血管、重要な神経を保護する役割を担っています。そのため、骨折すると大量の内出血を伴うだけでなく、膀胱や腸などの臓器、あるいは神経が損傷するといった重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
骨盤骨折が疑われる場合は、たとえ症状が軽微に感じられても、必ず医療機関を受診し、内臓の損傷も含めて詳しく検査してもらうことが非常に重要です。
大腿骨
大腿骨(だいたいこつ)は、太ももにある人体で最も長く、太い骨です。
自動車事故でハンドルに激しくぶつかるなど、極めて大きな衝撃を受けた際に、両方の大腿骨を骨折してしまうことがあります。大腿骨を骨折するほどの大きな外力が加わった場合、肝臓や膵臓などの腹部臓器にも深刻な損傷が生じている可能性があり、十分な注意が必要です。
大腿骨を骨折した場合、自力での歩行はほぼ不可能となるため、通常は事故現場から救急車で搬送され、そのまま病院で手術を受けるという流れになるでしょう。
顔面
交通事故で顔面を強く打ち付けると、鼻骨、前頭骨、眼窩(目の周りの骨)、上顎骨、下顎骨などを骨折することがあります。顔面の骨は、他の部位に比べて骨を保護する筋肉が薄く、骨自体も比較的薄いため、比較的軽度な外力でも骨折しやすい特徴があります。
顔面の骨折は、外見的な変形を生じるだけでなく、嗅覚、味覚、視覚といった感覚器に関わる神経を傷つけてしまうこともあり、永続的な障害が残りやすい場所とも言えます。早期に専門医の診察を受け、適切な治療を行うことが非常に重要です。
手足の骨(手首・足首・すね)
転倒時に手をついたり、バイクや自転車で転倒した際に足や手を地面についたりすることで、手首(橈骨遠位端など)、足首(足関節)、脛骨(すねの骨)、などを骨折することがあります。
手首や足首の骨折と一言で言っても、どの場所がどのように骨折したかによって、その後の治療期間や治療経過は大きく異なります。複雑な骨折では手術が必要になることもある部分です。
脊椎(背骨)
交通事故の衝撃で、頸椎(首の骨)や腰椎(腰の骨)を骨折することがあります。
腰椎の骨折に比べて、頸椎の骨折はより重大な神経症状をきたす可能性が高く、最悪の場合、手足の麻痺や呼吸困難といった深刻な後遺症につながることもあります。
頸椎が骨折した場合、痛みが和らいだからといって自己判断で治療を中断することは絶対に避けましょう。
完全に骨折が治癒し、神経症状が発生する可能性が低いと医師が判断するまで、根気強く治療を続けることが強く推奨されます。
手指・足指
交通事故で手や足を地面についたり、挟まれたりすることで、手指や足指を骨折することがあります。
特に手の指を骨折すると、日常生活の細かな動作に大きな影響が出て、不便を感じることが多いでしょう。骨が完全にくっついた後も、指の細かで繊細な動きが完全に元の状態に戻らないこともあります。
ここで皆さんにぜひ覚えておいてほしいことがあります。もし指輪をはめている手を怪我した場合は、すぐに指輪を外すようにしてください。
手指が内出血で腫れ上がると、指輪が抜けなくなり、指輪が指の血流を止めてしまう危険性があります。
そうなると、指輪を切断することになりますが、腫れ上がった指の指輪を切断する作業は、患者さんの痛みも大きく、医療従事者にとっても非常に大変な作業になります。
手指を怪我した際は、血流障害を起こす前に、必ず指輪を外しましょう。
上腕骨
上腕骨(じょうわんこつ)は、肩から肘の間にある腕の骨です。
交通事故で転倒した際に肘から地面にぶつかることで骨折することがあります。
また、手をついて転倒した場合でも、手から伝わってきた力が上腕骨に集中し、骨折を引き起こすこともあります。
「腕も痛いけれど、手をぶつけたのだから大丈夫だろう」と安易に自己判断せず、少しでも異変を感じたら医療機関を受診するようにしましょう。
交通事故による骨折は、どの部位を負傷したかによって、その後の症状や治療、回復期間、そして後遺症のリスクが大きく異なります。
少しでも骨折の可能性があると感じたら、自己判断せずに必ず医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
見逃されがち!? 初期レントゲンで見つからない『隠れた骨折』
交通事故後、すぐに病院でレントゲンを撮ってもらったのに「骨折ではない」と言われたのに、後日別の病院や再検査で「骨折していた」と診断されるケースが稀にあります。これは診断ミスではなく、「隠れた骨折」と呼ばれる見逃されやすい骨折が存在するためです。ここでは、なぜ初期のレントゲンでは骨折が見つかりにくいのか、その理由と注意点について解説します。
ひびだけの骨折は見えづらい
骨折の中には、事故直後のレントゲン検査では診断が難しいケースがあります。特にひび(不全骨折)や小さな骨折片、また骨の内部で損傷が起きる骨挫傷(こつざしょう)などは、初期のレントゲンでは写りにくいことが多く、1週間程度の時間を置いてから再検査することで判明することがあります。
「なぜ受傷直後には分からなかった骨折が、1週間後に分かるようになるのか?」と疑問に思うかもしれません。骨折をすると、骨の修復を始めるために、骨折部分に新しい骨の細胞が集まってきます。この骨の細胞が小さな盛り上がりとしてレントゲン上で確認できるようになるため、時間差で骨折だと判明するのです。
そのため、「1週間後に再検査をしたら骨折だった」と言われても、すぐに「診断ミスだ」と決めつけるのではなく、このような医学的な理由があることを知っておくと、納得できるのではないでしょうか。
肋骨骨折は見えづらい
交通事故で比較的よく見られるのが肋骨骨折です。肋骨骨折で、骨折部が激しく変形している場合は、レントゲンで比較的容易に確認できますが、ひびだけの不全骨折の場合、肋骨は特に見えづらい部位の一つです。
肋骨は、胸の前面からレントゲンを撮っても背中側の肋骨が重なって映り込んだり、左右どちらから撮っても反対側の肋骨が重なって映り込んだりします。そのため、骨折部分が他の骨と重なってしまい、レントゲン上で骨折線が隠れてしまうことがあるのです。
ただし、レントゲン上で骨折の存在が確認できなくても、「深呼吸や咳をした時の激しい痛み」「特定の場所を押した時の強い圧痛」など、骨折に特有の症状があれば、総合的に判断して骨折と診断することができます。
症状があるのにレントゲンで異常なしと言われた場合でも、痛みが続くようなら再受診を検討しましょう。
子どもの骨折は見えづらい
子どもの骨は大人と異なり、成長段階にあるため、レントゲンに写らない軟骨成分が多く含まれています。この軟骨部分はレントゲンでは透明に透けて見えてしまうため、もしこの部分で骨折をしていても、骨折線が写らず、見落とされてしまうことがあります。
特に透明に透けている部分は、骨の成長に非常に重要な「骨端線(こつたんせん)」と呼ばれる成長軟骨がある場所です。この部分の骨折を見逃すと、骨の成長に影響を及ぼし、手足の長さが異なったり、変形が生じたりする成長障害を起こす可能性があります。
お子さんが交通事故で怪我をした際は、一般的な整形外科でもよいのですが、小児科や小児整形外科の受診を強くお勧めします。小児を専門とした医師は、子どもの骨の特性や特殊な部分の怪我に対しても豊富な治療経験を持っており、より正確な診断と適切な治療が期待できます。
いつまでかかる? 交通事故による骨折のタイプ別・回復期間の目安
交通事故で骨折した場合、いつ頃治るのか、仕事や日常生活にいつ戻れるのかは誰もが気になることでしょう。
骨折の治癒期間は、一般的には数週間から数ヶ月ですが、場合によっては半年以上かかることもあります。その回復期間は、骨折の種類、部位、重症度、年齢、そして健康状態によって大きく異なります。
骨折の種類による治癒期間の違い
一口に骨折といっても、その折れ方によって治癒期間に違いが生じます。
- 横骨折: 枝をノコギリで垂直に切ったように折れた場合、骨折部の断面は狭くなります。骨を再生する細胞(骨芽細胞など)が集まる表面積が限られるため、骨がくっつくまでに時間がかかる傾向があります。
- 斜骨折・らせん骨折: 骨が斜めに折れたり、らせん状に折れたりして、骨折部の断面が広くなった場合は、骨再生に関わる細胞がより多く活動できるため、比較的早く骨がくっつくことがあります。
- 剥離骨折(はくりこっせつ): 骨の表面から小さな骨片が剥がれ落ちるように骨折することです。一見すると軽微な骨折に見えるため、すぐに治りそうだと感じるかもしれませんが、実は治りづらい骨折の一つです。剥離した小さな骨片に向かう血液の流れが遮断されやすく、骨の再生を妨げるため、治癒に時間がかかります。
骨折の部位による治癒期間の違い
骨折をした場所によっても、治癒期間は大きく変わります。
- 関節内の骨折: 骨折した場所が膝や股関節、肘などの関節の中である場合、骨の再生がうまくいかないことがあります。
関節内は滑膜に覆われ、血液供給が限られることや、関節液の影響で骨の癒合が阻害されやすいため、治癒期間が延びることがあります。そのため、関節内の骨折では、最初から手術を勧められるケースも少なくありません。 - 血流が乏しい部位の骨折: 例えば、手関節内の舟状骨(しゅうじょうこつ)の骨折では、骨へ向かう血管の走行が通常とは異なっており、骨折によって血流量が乏しくなる傾向があります。そのため、骨折部への栄養や酸素供給が十分に行われずに、治癒に時間がかかります。
重症度による治癒期間の違い
骨折の重症度も、回復期間を左右する重要な要因です。
- 単純骨折: 一つの骨が一本折れただけの比較的単純な骨折では、比較的治癒が早い傾向にあります。
- 粉砕骨折・開放骨折など: 一つの骨が一部だけでなく、複数個所で細かく折れてしまったり(粉砕骨折)、骨が皮膚を突き破って体外に出てしまったり(開放骨折)するような重症の骨折では、周囲の神経や筋肉、血管も大きく損傷していることが多く、治癒期間が格段に長くなります。感染のリスクも高まり、より複雑な治療が必要になります。
年齢による治癒期間の違い
一般的に、年齢が若ければ若いほど、骨折部分の骨再生能力が旺盛であるため、治癒期間は早まります。子どもは大人よりも早く骨がくっつく傾向があります。
一方、骨粗しょう症などを持つ高齢者では、骨の密度が低く、骨を作る細胞の働きも低下しているため、数ヶ月が経過してもなかなか骨がつかないということも珍しくありません。
健康状態による治癒期間の違い
個人の健康状態も、骨折の治癒に大きな影響を与えます。
- 糖尿病: 糖尿病などの持病がある人では、末梢血管への血流量が通常よりも低く、骨の再生に必要な栄養や酸素が十分に届きにくいため、骨の癒合が遅れる傾向があります。骨のつきが悪く手術をした方が良い場合でも、健康状態によっては手術ができないこともあります。
- 喫煙: 喫煙は血管を収縮させ、血流を悪化させるため、骨折の治癒を遅らせることが知られています。
- 栄養状態: 骨の生成には、カルシウムやビタミンD、タンパク質など、さまざまな栄養素が必要です。栄養状態が悪いと、骨の再生能力が低下する可能性があります。
骨折をした後に、急に健康状態を良くしようと思っても難しいものです。日頃からバランスの取れた食事、適度な運動、禁煙などを心がけ、意識して健康状態を良好に保つことが、もしもの時の回復力にもつながります。
交通事故による骨折は、様々な要因が絡み合って治癒期間が決定されます。焦らず治療に専念することが回復への近道です。
交通事故後の骨折!病院に行った後に自宅でできること
交通事故で骨折し、医療機関での処置が終わった後も、自宅でのケアが回復に大きく影響します。
ここでは、自宅でできる大切な3つの処置についてご紹介します。
1. 冷却
交通事故で骨折すると、多くの場合、ギプスなどで患部が固定されます。固定されている上から、あるいは固定されていない、心臓に近い側の皮膚に、氷水を入れたビニール袋をタオルで包んだものを当てて冷やしましょう。
怪我をしてから最初の48~72時間(約3日間)は、患部からの出血が生じやすい状態です。この間の出血量をできるだけ少なくすることで、その後の回復がスムーズになります。患部を冷却することで血管が収縮し、出血量を効果的に抑えることができます。
2. 挙上
挙上(患部を心臓より高い位置に保つこと)も、冷却と同じく、患部への出血量を抑える目的で行います。怪我をしてから最初の48~72時間は、特に患部をできるだけ高い位置に上げておくように心がけましょう。
もし出血量が予想より多く、72時間を経過しても患部の周辺が腫れ上がっている場合は、皮下に溜まった血液をなるべく早く除去するためにも、継続して挙上を行うことをお勧めします。腫れた状態を放置すると、周辺の関節が硬くなりやすいため注意が必要です。
ギプスで固定されているだけでも関節は硬くなりやすいですが、さらに腫れが加わると、ギプスが外れた後のリハビリがより大変になってしまいます。可能な限り腫れを残さないよう、積極的に挙上を行いましょう。
3. 固定されていない部分の軽い運動
骨折すると、骨折部の前後にある関節を含めてギプス固定をするのが一般的です。ギプス固定された関節は当然動かせないので硬くなりますが、ギプス固定をされていない部分も動かさないままでいると硬くなってしまいます。一度硬くなった関節を元の柔らかさに戻すのは難しいため、できるだけ固定をされていない部分は意識して動かしましょう。
例えば、腕を骨折して前後の手首と肘まで固定されたとします。3週間ギプス固定を行うと、その間動かさなかった手首と肘は拘縮(こうしゅく)を起こして、関節の動きが低下するため、ギプスを外した後にリハビリを行って関節の可動域を回復させていきます。
もし、手首から肘まで固定されているときに、指や肩を「大事にしなきゃ」と思って動かさないでいると、骨折とは関係のない指や肩までも拘縮を起こして動かせなくなってしまいます。そうなると、リハビリが必要な箇所が指・手首・肘・肩と増えてしまい、本来であれば手首や肘に集中してかけられたリハビリの時間が分散され、完治が遠のいてしまうことにもなりかねません。
そのため、ギプス固定がされていない部分は、軽い運動をすることで拘縮が起こらないようにすることが非常に大切です。
「ギプス固定をしているのに指や肩を動かして大丈夫なの?」と思うかもしれませんが、ギプス固定がされていない部分を動かしても、骨折部に影響が出ることはありません。骨折部に影響が出ないからこそ、その部分は固定されていないのです。安心して、無理のない範囲で積極的に動かすようにしましょう。
ご自身で動かすのが不安な方は「こはた接骨院」へご相談ください。
交通事故による骨折でお困りの方に
交通事故で骨折し、ギプス固定が必要になった場合、これまで説明してきたように、冷却で腫れを抑えることや、ギプス固定をしていない関節を動かすことは、その後の関節の動きを良好に保つために非常に重要です。これらは、関節拘縮(関節が硬くなること)の範囲や程度を最小限に抑えるために不可欠な処置だからです。
しかし、残念ながら、多くの病院や接骨院では、「まずは骨折部がしっかりくっつくこと」を最優先とするため、ギプス固定中の具体的な自宅ケアについて、詳細なアドバイスが十分にされないことがあります。
ギプス固定中の「隠れた」ケア
ギプス固定中は、1週間おきに骨のつき具合をレントゲンで確認するだけで診察が終わってしまう医療機関が大半です。しかし、実際には、ギプス固定をしていない部分の腫れを抑えること、関節拘縮を起こさないこと、そして筋力を落とさないことなど、ご自身でできることはたくさんあります。
もし、ギプス固定をした後に「骨がつくまで特にやることはない」と説明されて不安を感じている方は、ぜひ一度こはた接骨院へご相談ください。
当院では、ギプス固定中から行えるリハビリテーションのサポートを積極的に行っております。
来院が難しい方には、ビデオ通話などを利用して患部の状態を確認し、適切なアドバイスをすることも可能ですので、まずはお気軽にご連絡ください。
ギプス除去後の重要なリハビリ
さらに問題となるのが、骨折部がつき、ギプス固定が外れた後に「あとは日常生活の中で自然に治っていきますよ」と説明され、十分なリハビリが行われないケースです。
特に大きな病院では、手術後の患者さんのリハビリが優先されたり、新しいリハビリ患者さんが順番を待っていたりするなどの事情から、外来患者さんのリハビリまで手が回らないことがあります。
しかし、ギプス固定を外したあと、日常生活の中で自然に全てが治っていくということはありません。ギプスによる固定期間が長かった分、関節は硬くなり、筋力も低下しています。できるだけ早くリハビリテーションを開始し、関節の可動域を回復させ、筋力を取り戻すことが不可欠です。
1年後に、「なかなか関節の動きが元に戻らないのだけれど…」と当院に来院されても、その時点ではすでに手遅れとなっていることが多々あります。関節の硬さや筋力低下が慢性化してしまうと、元の状態に戻すのが非常に困難になるからです。
こはた接骨院にお任せください
ギプス固定中、そしてギプス除去後に行うべきリハビリはたくさんあります。骨折後の適切なケアは、機能回復と後遺症予防に不可欠です。
こはた接骨院では、専門知識を持ったスタッフが、患者様一人ひとりの骨折の状態や回復段階に合わせた個別施術計画を立て、痛みの緩和から機能改善まで丁寧にサポートいたします。
交通事故に遭われ、骨折の治療でお困りの際は、ぜひ一度こはた接骨院にご相談ください。私たちと一緒に、最善の回復を目指しましょう。
最後に
交通事故による骨折は、身体だけでなく、日常生活にも大きな影響を及ぼします。適切な初期対応から、見過ごされがちな「隠れた骨折」への注意、そしてギプス固定中やその後の丁寧なリハビリテーションまで、各段階での適切なケアが早期回復と後遺症予防には不可欠です。
もし今、交通事故による骨折でお悩みでしたら、お一人で抱え込まず、ぜひ当院にご相談ください。あなたの回復を全力でサポートいたします。
参考文献
1)加来信雄.交通事故損傷とその対処の留意点.国際交通安全学会誌.Vol.25,No.2,2000年1月.
https://www.iatss.or.jp/entry_img/25-2-06.pdf,(参照2025/07/10)
