交通事故後の捻挫! 自己判断で悪化させないための見極め方
交通事故に遭った後、「たいしたことないだろう」と自己判断してしまいがちなのが捻挫です。
しかし、捻挫と軽視して適切な処置を怠ると、痛みが長引いたり、関節が不安定になったり、場合によっては後遺症につながることもあります。
この記事では、交通事故後に捻挫が疑われる場合の症状の見極め方から、病院を受診すべきかの判断基準、そして自己判断で悪化させないための注意点について詳しく解説します。
そもそも捻挫とは?
捻挫は、関節を支えるじん帯や関節包といった組織が、外部からの強い力によって損傷することです。
例えば、交通事故で急激な力がかかった際に、足首や手首などが不自然な方向に曲がってしまうことで起こります。じん帯は骨と骨をつなぎ、関節の動きを安定させる役割を担っているため、これが損傷すると、関節の安定性が失われ、グラつきが生じたり、痛みを伴ったりします。
捻挫は、じん帯が部分的に損傷する軽度なものから、完全に断裂してしまう重度なものまで、いくつかの段階に分けられます。軽度な捻挫でも、適切な処置をしなければ慢性的な痛みに悩まされることがあります。
交通事故後の捻挫、こんな症状に注意!
交通事故後に捻挫が疑われる場合、以下のような症状に注意が必要です。
まず、負傷した関節の周囲に腫れや熱感が生じることがあります。また、内出血によって皮膚が紫色や青色に変色することもあります。これはじん帯が損傷し、内部で出血しているサインです。
さらに、関節を動かしたときに激しい痛みを感じたり、特定の方向に動かせなかったり、関節がグラグラするような不安定さを感じたりする場合も、捻挫の可能性が高いです。
特に、関節を動かそうとしたときに「ポキッ」という音や感覚があった場合は、じん帯が断裂している可能性もあるため、注意が必要です。
捻挫と侮らないこと!その場でできる応急処置
交通事故後に捻挫が疑われる場合、その場でできる応急処置としてRICE処置を覚えておきましょう。
これは、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の4つの頭文字を取ったものです。
まず、患部を動かさずに安静にし、これ以上損傷が進むのを防ぎます。次に、氷や保冷剤などで患部を冷やし、炎症と痛みを抑えます。ビニール袋に氷を入れてタオルで包むなどして直接当てないようにしましょう。さらに、包帯やサポーターで適度に圧迫することで、腫れを最小限に抑えます。最後に、患部を心臓より高い位置に保つことで、血流を抑え、腫れを軽減します。
ただこれは、あくまで初期対応の応急処置です。自己判断で済ませず、必ず病院で診察を受けましょう。
病院に行くべき?捻挫の重症度を判断するチェックリスト
交通事故後に病院を受診すべきか迷った際は、以下のチェックリストを参考にしてください。
- 患部に強い痛みがあり、体重をかけることができない。
- 腫れがひどく、時間の経過とともに増している。
- 関節が不自然な方向に曲がっていたり、グラグラするような不安定感がある。
- 患部を動かすと激痛が走る。
- 負傷した部分にしびれや感覚の麻痺がある。
- 捻挫した際に「ポキッ」という音がした。
これらの項目のうち1つでも当てはまる場合は、捻挫だけでなく、骨折やじん帯の完全断裂など、より重い損傷の可能性も考えられます。自己判断はせずに、速やかに整形外科などの専門医を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
捻挫が起きやすい場所と特徴
交通事故による捻挫は、特定の部位に多く見られます。特に注意が必要な場所とその理由をまとめました。
首(むち打ち)
交通事故で最も多い捻挫は首です。一般的に「むち打ち」と呼ばれ、車に後ろから追突された際に起こりやすいケガです。
衝撃によって頭が強く前に振り出された後、急激に後ろに戻る動きが、ちょうどムチを打ったときの動きに似ていることから、この名前がついています。
むち打ちは、長期にわたって痛みが続いたり、頭痛、めまいなどな症状を伴うこともあるため、注意が必要です。
足首・手首・指
交通事故の際、とっさに手をついたり、体を支えようと踏ん張ったりすることで、これらの部位に強い力が加わりやすいためです。
- 足首の捻挫は、歩いたり走ったりする動作に大きく影響し、日常生活に支障をきたす可能性が高いです。
- 手首や指の捻挫は、物を持つ、ドアを開けるといった日常の何気ない動作を困難にします。
どの部位の捻挫も、痛みが長期間続くことがあるので、軽視せずに必ず医療機関を受診し、適切な治療を検討しましょう。
捻挫の重症度と治癒期間
捻挫は、関節をひねることで周囲の組織が損傷するケガです。損傷の程度によって、治癒にかかる期間は大きく異なります。
1. 軽度の捻挫
関節を軽くひねっただけで、患部に内出血や強い熱感がない場合に多いです。この場合、組織の損傷も軽いため、1~2週間ほどで治癒することが多いでしょう。
2. 中度の捻挫
患部の周辺に内出血や熱感が見られ、関節周囲の組織が部分的に損傷している状態です。痛みが治まるまでに3~4週間ほどかかります。
3. 重度の捻挫
強く関節をひねり、軟部組織(靱帯など)が断裂している状態です。患部に強い内出血や熱感を伴い、痛みが治まるまでに1か月以上かかることもあります。
さらに、組織が断裂すると関節が不安定になるため、慢性的な痛みが残るケースもあります。
治癒期間はあくまで目安です
上記の治癒期間は、あくまで一般的な目安です。実際の回復期間は、個人の状態によって変わってきます。
- 年齢: 若い人ほど治癒が早い傾向にあります。
- 場所: 指などの小さな関節は、足首のような大きな関節よりも治癒が早い傾向があります。
- 健康状態: 全身的な健康状態が良いほど、回復が早い傾向にあります。
「捻挫だから大丈夫」と軽く考えず、損傷の度合いによっては治癒が長引くこともあります。
違和感があれば医療機関を受診することが大切です。
捻挫は繰り返しやすい?再発を防ぐリハビリ
一度捻挫をした関節は、じん帯が伸びてしまったり、不安定になったりするため、再発しやすい状態になります。
これを防ぐためには、適切なリハビリが非常に重要です。リハビリでは、伸びてしまったじん帯を保護するための、周囲の筋力強化を重点的に行います。
特に、捻挫をした後では、関節を動かしたときに、通常よりも大きい動きが生じてしまう方向があります。その方向への動きを制限させるための筋肉のつけ方があります。
一般的なトレーニングジムで筋力訓練を行うのとは違う方法になるので、理学療法士および柔道整復師の指導のもと、正しいリハビリを行うことで、関節の機能回復と再発防止につながります。
「こはた接骨院」では、理学療法士・柔道整復師の有資格者が対応しますので、心配のある方は一度ご相談ください。
最後に
交通事故後の捻挫は、見た目には軽度に見えても、放置すると後遺症につながるリスクがあることを忘れてはいけません。
自己判断で「大丈夫だろう」と決めつけず、少しでも違和感や痛みを感じたら、必ず病院で診察を受けましょう。
早期に適切な診断と治療を受けることが、痛みを長引かせないため、そして健康な体を取り戻すための最も確実な一歩です。
この記事が、交通事故後のご自身の体の状態を見極める一助となれば幸いです。
